ミニマルで無機質なピアノに垣間見える、衝動。
緻密な音の構築が、緊張と緩和を生む、新進気鋭の1stアルバム。
一人では弾き難い多重ピアノをコンピューターに演奏させながら、
その中に自身で弾く、人間的な間のトラックを必ず重ねる音作りをしている。
それにより、無機質に紛れる有機質を核とした、緻密で建築のような音を感じることができる。
演奏家には、繊細かつ、力強いバイオリンの谷本華子氏、
情感豊かで色気溢れるチェロの金子鈴太郎氏、
美しい高音を自在に操るコロラトゥーラソプラノの端山梨奈氏、
古典から現代曲まで様々な世界観を生み出す打楽器の西岡まり子氏の、
クラシックで活躍する素晴らしい4名を迎え、緻密な楽曲の世界観をより豊かに表現している。
また、0090と0088は、カトリックのミサ曲である「Kyrie」と「Agnus dei」のラテン語歌詞に、
りんや木魚、ティンシャ等、仏教やチベット密教で使われる楽器の音を重ね、多構造の楽曲となっている。
obsessは、取り憑く、妄想する、夢中になる、という意味を持つ言葉。
制作中、音に捕われて自分の瞳孔が開いていく瞬間への想い。
また、人生を音楽に捧げる友人達をはじめ、
ものを作る全ての人々への尊敬と憧れの念を込めて、つけられたタイトルである。
制作期間中に世の中では悲惨な事件、事故や災害等があり、意図的ではなかったものの、結果的に祈りのようなアルバムが完成した、と作者は感じている。